ヤマハがリリースするXSR900が2022年モデルで各部を一新。レーシングヘリテージモデルとして新スタイルが与えられたほか、排気量アップ、新型軽量フレームと軽量ホイール、IMUを活用した各種電子制御、新型LEDヘッドライトやフルカラーTFTメーターなど改良面は多岐に渡り、フルモデルチェンジして2022年6月30日から全国のYSPおよびアドバンスディーラーで発売される。価格は121万円(税込み)で、カラーリングはブルーメタリックCとブラックメタリックXの2色展開となる。
新型XSR900の特徴を一つずつ触れていこう。まずは外観だが、単にレトロデザインとしたのではなく、最新スポーツモデルを作り込む際のテクノロジーを融合させ、デザインを再構築している。1980年代のレーシングマシンが持つ機能美にならい、足つきやニーグリップ時のフィット感を考慮したフューエルタンクやサイドカバーなど、走行時も停車時もライダーにとって一体感ある形状を目指している。また、ボルトの選定などディティールにもこだわっているのもポイントだ。
多くの人にとって気になるのがスペック面での違いとなるだろうが、そのスペックの中核となるエンジンも改良。排気量は845㏄から888㏄へとアップしたCP3(クロスプレーン・コンセプトの3気筒)エンジンを搭載している。ピストンやコンロッド、クランクシャフト、クランクケースなど、主要パーツのほとんどが新設計され、より軽量に仕上げられている。
また、新エンジンとのバランスを図るため、新フリクションプレートを織り込んだアシスト&スリッパ―クラッチ、レシオを最適化した(1・2速をハイギアード化)トランスミッションを採用。そして乗り味についてはXSR900専用に作り込み、ねらったラインでセカンダリーロードを気持ちよく走行できるハンドリング性能を追求しているとのことだ。
そのエンジンを支える、文字どおりの骨格となるフレームも改良。最新の製造技術を駆使した最低肉厚1.7mmの新フレームを採用する。これにより軽快な運動性を支え、デザインの自由度を大きく高める効果が得られているとのことだ。また剛性特性は、直進安定性と操縦性を両立させるために、縦・横・ねじり剛性を最適化。とくに横剛性は従来比で約50%アップし、直進安定性に貢献するとしている。そしてリヤフレーム、リヤアームともに新設計。リヤフレームは水平基調で低く構えたシルエットを実現させるために専用設計されている。新デザインのロー&スリムなシートと相まって、1980年代のレーシングマシンのような、やや腰を後ろに引いたライディングポジションにしている。また、シルエットとして無駄なモノが付いていない印象となるよう、収納時はフレームと一体化して見える可倒式リアフットレストを採用した。さらに、新設計リヤアームは従来比から55mm延長され、ホイールベースをやや長くすることで直進安定性を強めている。シルエットも洗練され、走りを主張する足まわりを強調させているのも見た目のポイントとなっている。
また、ホイールは鋳造ながら鍛造に匹敵する強度と靭性を備えるヤマハ独自の“SPINFORGED WHEEL(スピンフォージド ホイール)”技術による軽量ホイールを採用する。従来比前後で約700gの軽量化を図り、バネ下重量を低減。これにより、軽快かつ安定感のある走りを追求している。また、この結果としてリヤの慣性モーメントは 11%低減しており、運動性向上にも貢献しているという。
続いて電子制御系について触れたいが、2015年モデル以降のYZF-R1で実績のあるIMU(Inertial Measurement Unit)の基本性能を維持しつつ、センサー構成を見直すことで50%の小型化、40%の軽量化を図ったIMUを搭載している。このIMUは2021年MT-09/TRACER9 GTと同一仕様だ。そしてIMUの情報を受け取って車両側にフィードバックするECU(Engine control unit)にはトラクションコントロールシステム、スライドコントロールシステム、リフトコントロールシステムを織り込んでいる。個々の制御は相互に連動してライダーの運転操作を支援し、マシンのポテンシャルを効率よく引き出すことに寄与するという。なお、各システムとも介入レベル調整、および ON・OFF設定が可能となっている。さらにブレーキコントロールやシフトダウンにも対応するクイックシフターも搭載された。
ヘッドライトも改良され、照射方向左右の広がりや明るさ、さらにバンク時の配光特性にも配慮したLEDヘッドランプを新開発している。 LED化やエイミング機構の効率化を図ることで本体の前後長を極力薄くし、車体デザインとの融合にも寄与するよう設計したとのことだ。また、3.5インチのフルカラーTFTメーターは、回転数に応じて色が変化するデジタルバータコメーター、燃料計、平均燃費、水温計、外気温計、シフトインジケーター (使用ギア表示エリア色反転)、ETCインジケーターの表示機能などを備えている。そのほか、ステーの形状や仕上げなど、細部にまでこだわりヤマハレーシングヘリテージを追求している。
データ 諸元
- 認定型式/原動機打刻型式
- 8BL-RN80J/N718E
- 全長×全幅×全高
- 2,155mm×790mm×1,155mm
- シート高
- 810mm
- 軸間距離
- 1,495mm
- 最低地上高
- 140mm
- 車両重量
- 193kg
- 燃料消費率 ※1
- 国土交通省届出値定地燃費値 ※2: 31.1km/L(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値(クラス) ※3: 20.4km/L(クラス3 サブクラス3-2) 1名乗車時 - 原動機種類
- 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
- 気筒数配列
- 直列3気筒
- 総排気量
- 888㎤
- 内径×行程
- 78.0×62.0mm
- 圧縮比
- 11.5:1
- 最高出力
- 88kW(120PS)/10,000rpm
- 最大トルク
- 93N·m(9.Skgf·m)/7,000rpm
- 始動方式
- セルフ式
- 潤滑方式
- ウェットサンプ
- エンジンオイル容量
- 3.50L
- 燃料タンク容量
- 14L(無鉛プレミアムガソリン指定)
- 燃料供給方式
- フューエルインジェクション
- 点火方式
- TCI(トランジスタ式)
- バッテリー容量/型式
- 12V,8.6Ah(10HR)/YTZ10S
- 1次減速比/2次減速比
- 1.680(79/47)/2.812(45/16)
- クラッチ形式
- 湿式,多板
- 変速装醤/変速方式
- 常時噛合式6速/リターン式
- 変速比
- 1速2.571 / 2速1.947 / 3速1.619 / 4速1.380 / 5速1.190 / 6速1.037
- フレーム形式
- ダイヤモンド
- キャスター/トレール
- 25° 00′ / 108mm
- タイヤサイズ(前/後)
- 120/70ZR17M/C(58W)(チューブレス) / 180/55ZR17M/C(73W)(チューブレス)
- 制動装置形式(前/後)
- 油圧式ダブルディスクブレーキ / 油圧式シングルディスクブレーキ
- 懸架方式(前/後)
- テレスコピック / スイングアーム(リンク式)
- ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ
- LED / LED
- 乗車定員
- 2名
※1 燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※2 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
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- ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
- 電話番号
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