東京都内の二輪事故急増を受け、交通安全啓発キャンペーンを実施
8月19日、この日は現在の内閣府が1989年に交通事故撲滅を目的に“バイクの日”に制定し、以降各自治体や地元警察などがライダーに向けて交通安全啓発イベントなどを開催している。
ただし、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、こうった場を設けることが難しかった。そんな中、7月から東京都内の二輪死亡事故件数が急増していることを受け、警視庁は東京のライコランドTOKYO BAY東雲店にて交通安全運転啓発キャンペーンを実施した。
来店したライダーには、二輪事故に多い右直事故について注意すべき点や、安全装備について解説する映像を収録したDVD、チラシなどを配布。警視庁女性白バイ隊“クイーンスターズ”の隊員や警察官ら自らが、ソーシャルディスタンスを取りながら1人1人に丁寧に声をかけ、またライダーのみならず、クルマで来店していた人々へも二輪の特性を伝えたうえで、ドライバーとしてどういった点に気を付けて運転すべきかなどを呼びかけていた。
東京都の二輪車死亡事故件数は20件を超え、7月から急増
全国的には二輪の死亡事故件数は減少傾向にあるものの、警視庁が管轄の東京都内での二輪の死亡事故件数は7月、8月の2か月連続で急増している。実際に具体的な件数と、事故形態はどのようになっているのか、見てみよう。
7月から8月18日現在のデータ
単独での事故ではガードレールや中央分離帯への衝突によるものが多数を占め、その次に右直事故が多く、追突事故5件の内訳は追突“された”が3件、追突“した”のが2件となっている。これだけ死亡事故件数が急増している要因に関しては明らかとなっていないが、この時期特有の熱中症によるものや、コロナ禍で公共交通機関を使用しがたくなった今、バイクを利用して通勤通学を行なう人口が増えたなど、さまざまな要因が考えられるだろう。
また2015年から2019年の死亡事故・致命傷部位は次のようになっている。
グラフのように二輪の死亡事故で致命傷となるのは約半分が頭部損傷によるもので、次に胸部が27.7%となっている。バイクは体1つで乗るとても無防備な乗り物だから、バイクに乗るときはできればフルフェイスや、ジェットといった頭部をカバーする部分の多いヘルメットをかぶり、アゴひもをしっかりと締め、プロテクター入りのライディングジャケットを装備するなど、運転にはもちろん装備にもぜひとも注目してほしい。
今回のキャンペーンで配布されたDVDの映像はYouTubeでも見られるようになっているので、ビギナーライダーはもちろん、ベテランライダーまで今一度、バイクでの安全運転、安全装備の理解を深め、悲しい事故を少しでも減らせるよう努めてもらえたら幸いだ。