体力がなかったり小柄だったりと、女性にとって重たいバイクを動かすのは一苦労。せっかく買った愛車なのに、取りまわしができなくてガレージからバイクを出せなかったり、街中の駐車時にアタフタしたり…。そんな不安を解消する取りまわしのテクニックを、ここでは3つのポイントに分けて解説するよ。
1.車体をまっすぐにする
まずはバイクのエンジンを切った状態で、地面と車体をできるだけ垂直にしよう。ついつい怖いからといって自分の方へバイクを傾けてしまいがちだけれども、垂直に近ければ近いほど軽い力でバイクを取りまわすことができる。キレイに垂直を保てれば手を添えるだけでバイクを支えることだってできちゃうよ。
2.バイクを前へ押す
次にバイクを前へ動かす動作。垂直にした状態で動かせばラクに取りまわしをできるけれど、車体を右側へ倒しそうで怖いのであれば、ほんの少しだけライダー側の左、つまり自分の方へ車体を傾けて、タンクやシートのあたりに腰を添えるような位置取りをするといい。その状態でハンドルに体重をかけるようにして前へ押し出す。その際、腕力だけで前へ動かそうとするとかなりの力が必要なだけではなく、ヒジや手首に無理な力がかかってしまい、ケガの原因にもなってしまうので、足の踏み込みを意識して全体重をハンドルに乗せるようなイメージで行なおう。
また、エンジンがかかっていなからといってもバイクが大きく重く危険なモノであることに変わりはない。不意に停止する必要が出てくるかもしれないので、周囲に人がいる場合などは必ずブレーキレバーに指をかけておくようにしよう。
3.バイクをうしろへ引く
駐車時などにできないと困るのが、バイクを後ろへ引く動作。これも前へ押し出すときと同様に、腕の力だけで動かそうとすると、車種によっては男性でも苦戦するくらい大変。そのため腰をシートなど、フィットさせられるところにくっつけた状態で、腰や足など、下半身の力と体重を使って車体を後ろへ押し下げるようなイメージで行なおう。
万が一バランスをくずして車体が左側へ倒れてきても、下半身の力や腰を使うことで、小柄な人でもバイクを支えることは十分に可能。ただそのときに車体と体が離れていると、下半身の力で支えることはできないので、常にバイクに体を添えておくことを心がけよう。
サスペンションの反動を活用する
傾斜や段差などがあり、自分の力だけでバイクを動かせないときは他の手段を試してみよう。一番ポピュラーなのは、地面から受けた段差などの衝撃を和らげてくれる“サスペンションの反動”を活用する方法。やり方は、右手のフロントブレーキをにぎった状態でハンドルをグッと真下へ押す。真上からサスペンションを下方向へ縮めるようなイメージだ。
そして、縮んだサスペンションがもとに戻ろうと上方向へ伸びる力を利用してバイクを動かそう。サスペンションが戻るタイミングに合わせてブレーキを放し、車体を後ろへ引いてあげる。その際、腰と下半身の力を合わせて活用してね。そうすることで段差が障害になって後ろに下がりにくい場所などでも、ラクにバイクを動かせる。少し高度なテクニックのように感じるかもしれないけれど、コツをつかんでしまえばいたって簡単。できるようになるまで、何度も試してみよう。
バイクにまたがったままでもOK
シート高が低く両足が地面にしっかりと着く車種に乗っているのなら、バイクにまたがった状態で動かす裏技もアリ!ただ、オフロードバイクのようにシート高が高く、つま先しか地面に足が着かない場合、ふんばりが効かないので、またがった状態で車体を動かすのは難しくなってしまう。さらに立ちゴケの危険性も高まってしまうので、無理はしないように。
ポイントをしっかりとおさえて、一人で取りまわしができるライダーを目指そう。そうすればかっこいいベテランライダーへ、また一歩近づけるハズ。