バイクメーカーではライダーの用途や好みに合わせて、さまざまなジャンルのバイクをラインナップしているんだ。ここでは主だったバイクのジャンルを紹介していくよ。愛車選びの参考にしてね。
ネイキッド
バイク全体を覆う、カバーの類 (カウリング、フェアリングなどと呼ぶ)がなく、 ライトまわりからエンジンにかけてすべてむき出しになっているタイプのバイクを指す。70年代後半まではカウルのないバイクが当たり前だったが、80年代に入ると“レーサーレプリカ”と呼ばれる、レーシングバイクそのもののような、バイク全体をすべてカウルで覆ったバイク(フルカウルモデル)が登場し、一大ブームに。これに対してカウルがないモデルを、カウルがない=裸、という意味からそれ以来ネイキッドと呼ぶようになった。
さらに、最近ではネイキッドバイクの中にも丸目一灯のシンプルなデザインのモデルだけでなく、シャープなデザインのヘッドライトやシュラウド、テールカウルなどが与えられたモデルも続々と登場しており、それらは従来のネイキッドと区別して“ストリートファイター”と呼ばれることも。
スーパースポーツ
サーキットやレースでそのまま走れるような、高い運動性能を持つバイク。バイクメーカーのスポーツイメージをもっとも具現化したバイクである。外見上の特徴は、バイク全体がカウル、あるいはフェアリングなどと呼ばれるカバーで覆われていて、左右のフロントフォークに直接取り付けるセパレートタイプのハンドル(通称セパハン)が採用されていること。現在は600ccと1,000ccが主なラインナップとなっている。ちなみに海外では600ccクラスをスーパースポーツ、1,000ccクラスをスーパーバイクと呼ぶことも。
80年代に流行したレーサーレプリカとの違いはそもそもの生い立ちの部分。昔のレーサーレプリカはレースで勝つためのマシンだったが、スーパースポーツはあくまでもスポーツ走行を楽しむためのマシンとして登場した。
クルーザー(アメリカン)
低い車高に長いホイールベースといったロー&ロングの独特なスタイリングが身上のクルーザー。山道を攻めるような走りには向かないけれど、大柄で安定感のある車体と、大容量の燃料タンク、足を前方に投げ出すようなステップ、手元まで伸びるハンドルバーを持つ。クルーザーならではのゆったりとしたライディングポジションは、長い距離を走るのに最適。シート高も低いので、足つき性も抜群だ。
クルーザーの代名詞といえば、やはりハーレーダビッドソン。同社がアメリカのメーカーであることから、クルーザーをアメリカンと呼ぶことも多い。アメリカの広大な大地を悠々とクルージングするために生まれたのがハーレーダビッドソンなのだから、同様のクルージング性能を持ったバイクたちもクルーザーと呼んであげたい。
ストリートファイター
昔ながらのネイキッドモデルに取って代わって人気を集めつつあるのが、このストリートファイターだ。もともとはスーパースポーツをはじめとするフルカウルのハイパワーモデルをベースに、カウルを外してバーハンドルや異形ヘッドライトを装着したカスタムマシンをこう呼んだ。その後、いろいろなメーカーからそうしたルックスのモデルが登場し、現在ではスポーツバイクのエンジンを使用していなくてもアグレッシブなデザインのネイキッドモデルであればストリートファイターと呼ばれることが多い。
オフロード
未舗装の荒れた路面(オフロード)を走るために、前後のサスペンションの作動量(ストローク)を大幅に増やして最低地上高(地面と車体との隙間)を確保し、さらにオフロード走行に不要な部品を極力省いて車体を軽量に仕上げたモデル。見た目からわかる特徴としては、幅広でフラットなハンドルや、スリムで細長いシート、凸凹としたブロックタイヤ、アップタイプのマフラーなどがある。
数値だけを見ると、シート高が高く小柄な人は敬遠しがちだろうが、意外にまたがるとサスペンションが沈み込んで足つき性がよくなることや、車体が軽いので扱いやすかったりする。さらに少々の立ちゴケでもビクともしない頑丈さがあるかも!? 林道などを走ってみたいライダーには最適だ。
モタード
モタードはオフロードモデルをベースに、前後17インチのオンロードタイヤを装着したモデル。もともとは、ダート(未舗装路)とアスファルトが混ざり合ったコースを使ったレース・“スーパーモタード”で使われていたマシンが起源となる。タイヤの変更に合わせて、サスペンションのセッティング変更やブレーキの強化などが行なわれている場合も多い。また、ホイールの径も小さくなっているので、オフロードモデルと比較して足つき性が向上しているケースも。
オフロードモデル譲りの軽量な車体と扱いやすいエンジン特性、アップライトなポジションなども相まって、街中やワインディングをキビキビと走ることができるハズ。
ツアラー
高速走行時の快適性や街中での扱いやすさなど、とにかくツーリング時の快適性を追求したモデルを指す。多くはフルカウルを採用しているけれども、スーパースポーツのように加速や最高速を追求するためではなく、ライダーが受ける風の抵抗を減らすための形をしている。一昔前はツーリング性能を追い求め、大きくドッシリとしたモデルが多かったけれど、最近ではスーパースポーツさながらの軽量・コンパクトな車体に快適性を持たせたスポーツツアラーとでも呼ぶべきモデルが人気を集めている。
アドベンチャー
2010年代後半にもっとも熱いカテゴリーといえばこのアドベンチャーで間違いない。国内外のメーカーからは続々と大排気量の新型アドベンチャーモデルが投入されているし、250ccクラスのアドベンチャーモデルもどんどん充実してきているから。
アドベンチャーってどんなモデルなのかといえば、オフロードバイクとツアラーの良いところを混ぜ合わせたようなイメージ。長距離ツーリング時の快適性とオフロードでの走破性の両立が狙われている。ただモデルによって、ツーリング性能とオフロード性能のどちらかを重視したか大きく2つのモデルに分けられる。ツーリング性能重視のモデルは前後17インチホイールにダウンタイプのサイレンサーを、オフロード性能重視のモデルはフロント19インチ・リヤ17インチや、フロント21インチ・リヤ19インチといった大径ホイールにアップタイプのサイレンサーを採用していることが多いから、参考にしてみて。
トラッカー
もともとは、アメリカで盛んなダートトラックレースに端を発するバイク。ダートトラックレースは平らな土でできた楕円形のコース上をリヤタイヤをスライドさせながらグルグルと回るレースで、これに特化した独特のスタイルを持つ。レースで使用されるマシンでは、リヤタイヤにスライドコントロールのしやすい特別なパターンのタイヤがチョイスされ、アップライトなライディングポジションとワイドなハンドルが採用される。
こうしたスタイリングをストリートに持ち込んだのが日本のトラッカーと呼ばれるモデルで、そのワイルドなスタイルやラクなライディングポジション、軽量な車体、扱いやすいエンジン特性が若者を中心に受けた。ブーム時には国内4メーカーからトラッカーが販売されていたが、現在ではスズキのグラストラッカーを残すのみ。
ビッグスクーター
2000年代に一大ブームとなったビッグスクーター。クルーザー(アメリカン)にも似たゆったりとしたライディングポジション、クッション性のよいシート、すぐれたタンデム性能、オートマチックトランスミッションによるイージーな操作、驚くほどの積載性能などなど、多くのメリットが若者を中心に広く受け入れられ、人気を博した。車体全体がカバーで覆われそれに加えて大型のスクリーンを装備して高い防風性能を確保している車種が多いのも特徴で、その積載性能の高さとあわせてツーリング性能にもあなどれないものがある。
ブーム終焉後はその揺り返しなのか、125cc~200ccクラスを中心としたコンパクトなタイプのスクーターにその人気を奪われつつある。